事業形態の種類
Proprietorship
個人事業にあたります。単独の経営権を有する一個人によって所有される事業形態であって、その事業から発生する債務については無限責任を負います。なお、事業から発生する利益は個人所得として税務申告を行います。
Partnership
経営・利益分配に参加する権利を共有しあう組合員間で合意がなされることによって、形成されます。各組合員は事業から発生する全債務を個人的に保証する無限責任を負います。事業から発生する利益は個人所得として税務申告を行います。
Limited Partnership
全般的な経営権を持ち事業から発生する債務に個人の無限責任を負う一般組合員と、経営権を有せずに個人責任を負わない有限責任の組合員によって構成されます。リミテッド・パートナーシップを設立するためには、州または郡当局に定款の提出が必要です。
Limited Liability Partnership (LLP)
パートナーシップの各組合員が他の組合員の責任を有限とした事業形態です。
Limited Liability Company (LLC)
1980年代後半から各州で規定された比較的新しい事業形態です。LLCは会社としての属性を維持し全ての出資者の有限責任であることが認められながら、税法上は、事業の利益は個人所得として申告することによって二重課税を回避することができます。
Corporations
事業形態は一般的な株式会社です。株主は事業から発生する債務に個人責任を負わない有限責任です。税法上は、会社は事業利益を法人所得として申告し、株主への配当金はさらに個人所得として申告する、いわゆる二重課税となっています。
S Corporations
Corporationsの一種ですが、小企業の多くは内国歳入庁に対しsubchapter Sを選択することによって一般の法人課税が免除されます。
しかしながら、subchapter Sを選択するためには、株主はアメリカ居住のアメリカ人であるという規制があります。従って、非居住の外国人がこの選択を行うことはできません。また、株主は35名以内となっています。
法人の代表格であるCorporations
アメリカにおける会社(corporation)は、日本の株式会社に相当します。会社を管轄する法律は州法によって定められ、会社は州法の下に設立されます。従って、全米で同じ条件で会社の設立ができるのでなくそれぞれの州によって異なってきます。
会社は設立された時点で独立の人格を有します。これによって会社は財産を取得したり保有したり譲渡したりすることができます。また、会社は株主や取締役とは別人格であり、それらの者の死亡によって会社が抹消されることはありません。
今日ではほとんどの州において、会社設立の条件として州内の居住を条件としていません。 アメリカ非居住者であっても株主や取締役になることができます。
アメリカ支店開設について
日本企業がアメリカに事業進出する場合、現地法人を設立する方法と支店を開設する方法があります。支店を開設する場合には、アメリカ国内の他州で設立した法人が支店開設する際と同様に「州外法人」登録を行うことになります。
支店開設の一般的なメリット・デメリットは次のとおりです。
■メリット
- 開業当社に損失が出た場合、日本の本社の利益と相殺し、節税することができる。
- 本社経費を合理的な範囲で支店に配賦できる。
- 支店利益を本社へ送金する際は、日米租税条約にもとづき10%の源泉徴収を免除される。
■デメリット
- 日本の本社が、支店の債務についても責任を持つ。
- 日本の本社が、連邦および州の裁判管轄や税法に服することになる。(支店との取引に関連し本社も税務調査の対象となり得る)
- 州課税所得の算出が複雑になる。
現地法人を設立するか支店を開設するかは、各社の長期的な活動内容から判断すべきと考えられます。