「事業進出って、何から手を付けたらよいの…?」
「準備にどのくらいの期間が必要なの…?」
などなど、初めてのアメリカ事業進出は疑問だらけでしょう。
今回は、アメリカ事業進出手順の基本について解説いたします。
事前調査と進出形態
アメリカへの事業進出を始める場合、進出形態として「駐在員事務所」「日本企業の米国支店」「現地法人」の3つがあります。以下はそれぞれの特徴です
駐在員事務所
州政府や連邦・州税務局に何も届出をしない形態で、初期の市場調査においては、一般的によく使用されます。
ただし、市場調査と事業活動の境界は曖昧であり、場合によっては州政府や税務当局より事情活動と見なされ、思わぬペナルティを課せられる可能性もあります。
ホテルに滞在しながらの短期間の調査ならよいかもしれませんが、事務所を借りたり住所を定めたりする段階では、下記の支店または現地法人を登録へ進むことをおすすめします。
日本企業の米国支店
米国支店として法人登録を行なえば、支店の損金を本店と相殺できる、あらためて新会社に役員を就任させる必要が無い、等のメリットがあります。
しかし、アメリカは訴訟大国であるため注意が必要です。第三者からの訴訟だけでなく、セクハラ問題などで社員から会社が訴えられることもあります。
米国支店で起こる訴訟問題に日本の本社が対応しなければならず、また賠償額によっては日本本社の経営に大きな影響がでることもあります。
さらに、米国の税務当局に対し日本の本社が対応しなければならないことも、大きな負担となることがあります。
現地法人
米国の損金を日本本社と相殺できませんが、訴訟問題や税務問題を日本本社と分離することができ、最もお勧めの進出形態です。
法人設立
事前調査が進んだところで、前述の支店または現地法人設立に進みます。この段階では、会社設立代行会社や事業進出コンサルティング会社を利用すれば現地に出向く必要はありません。このような会社が、御社に替わって現地で法人設立の手続きを行なってくれます。
連邦雇用主会社番号
会社設立完了後、連邦の税務当局である内国歳入庁に雇用主会社番号(EIN, FEIN, Federal Tax IDなどと呼ばれている)を申請・取得します。
ビジネスライセンス・その他の許認可
ビジネスライセンスとは、一般的に税務局に対する事業開始の許認可を指します。ただし、州や地方自治体によって異なっており、州税務局のみから取得する場合や、郡や市から取得する場合もあります。事業所を設置する場所でのルールを確認する必要があります。
また、酒類取扱やマッサージなど事業内容によっては、別のビジネスライセンスが必要な場合もあります。米国では役所で質問してもまともな回答は期待できないため、通常は現地の弁護士などに確認します。
セラーズ・パーミット
売上税や消費税を徴収する業者は、一般的に州税務局よりセラーズ・パーミット(販売許可証)を事前に取得する必要があります。
ビジネスライセンスとセラーズ・パーミットは、会計事務所の専門範囲となります。なお、会社設立代行会社によっては、ここまでの取得代行をカバーしている場合もあります。
銀行口座開設
以上の準備ができましたら、現地に出向き銀行口座開設を行ないます。必要な書類は、会社設立書類、連邦雇用主会社番号が証明できる内国歳入庁からの通知書等です。
銀行によっては、その他の書類が必要な場合があります。また、各銀行所定の審査があります。
雇用関係
社員を雇用する場合は、給与税や社会保障の手続きを行ないます。手続きは会計事務所に依頼します。
まとめ
米国では州や地方自治体により法律や条例が異なります。また、薬事法等連邦の法律が関係することもあります。知らずに事業を開始し思わぬペナルティを課されぬよう、事前に十分な調査を行ない事業を開始してください。