はじめに
米国で会社を設立したら、次は現地スタッフの雇用ですね。
ここでは、初めての社員の雇用に際し、基本的な知識について解説します。
社員の種類
日本での社員といえば、「正社員」「契約社員」「派遣社員」加えて「アルバイト・パート」等ですね。
米国でもほぼ同様で、「正社員」「契約社員」「派遣社員」「パートタイマー」等があります。
これらを一つ一つ解説させていただきます。
正社員(Employee)
正社員については、日本と同じと考えてよいです。フルタイムで働く人は正社員となります。
契約社員(Independent Contractor)
日本での契約社員は、期間を決めて雇用主と契約を結んだ社員を指しますが、米国では少々異なります。
Independent Contractorは「独立請負人」「独立契約人」などとも訳され、業務単位で請負契約を結んだ個人事業主の社員です。
職種は、配達員、コンピューター技術者、保険販売員などが多く、契約に基づいた業務のみを請け負います。
派遣社員(Temp)
昨今、米国では日本と同様、派遣社員が増えています。ただし、日本と違い専門性が高い仕事を一定期間契約するという形態が多くなっています。
パートタイマー(Part Timer)
アルバイトやパートは、米国ではパートタイマーと呼ばれています。パートタイマーの雇用主は、正社員と同様、源泉徴収税を徴収し、社会保障の一部を負担しなければなりません。
募集方法
社員募集を告知する方法は、従来では新聞の掲示板欄が主流でしたが、昨今ではインターネットにその座は移ったといえるでしょう。いくつかの大手求人サイトがありますので、そのようなサイトに掲載するのが一案です。
なお、日系人を募集したい場合は、現地の日本語のフリーペーパーやコミュニケーションサイトへの掲載が効果的です。
米国は差別にたいへん厳しい規制があります。応募フォームに、年齢・性別・人種を記入させる、写真を添付させるなどは、禁止されていますので、注意が必要です。
税金などの情報
正社員・パートタイマー
正社員・パートタイマーを雇用する場合、雇用主は次の税金と保険料を負担する必要があります。
- 社会保障税(Social Security Tax) の一部
- 高齢者医療税(Medicare Tax)の一部
- 失業保険税(Unemployment Tax)
- 労災保険(Worker’s compensation)
- 傷害保険(State Disability Insurance) の一部
※詳細な制度は州により異なることがあります。
契約社員・派遣社員
契約社員・派遣社員の場合、雇用主は正社員の様に社会保障税や労災保険などを負担する必要はありません
なお、契約社員に限っては、原則とし一年間に個人事業主に支払った額が600ドルを超える場合、税務当局に報告する必要があります。
正社員 vs 契約社員
米国の雇用環境で度々問題になるのは、正社員と契約社員の区別についてです。
一般的に企業は人件費削減のため、正社員を望まない傾向があります。これにより、原則企業は、社会保障税や労災保険等の経費を負担する必要はありません。
しかし、連邦政府・州政府の立場では、税収を増やしたいですし、労働者の権利向上のため労災・傷害保険を企業側に求めたいと考えています。また、労働者自身も社会保障が充実した正社員を望む傾向にあります。
連邦と州の徴税当局と労働当局では、正社員・契約社員識別テストが定めてあり、正社員に該当するにもかかわらず契約社員として契約している場合は、厳しいペナルティがありますので注意が必要です。
まとめ
社員の形態には「正社員」「契約社員」「派遣社員」「パートタイマー」等があることがお分かりになったと思います。
米国はでは、社員が差別や不利な行為を受けた場合、経営者が訴えられることが頻繁にあり、社員の雇用問題や差別問題については十分な注意が必要です。
細かい点は州により異なりますので、事業を行なう州で調査をお願いします。