本日、お客様より貯めたポイントで割引販売を行なった場合の売上税(セールスタックス)について質問がありました。初めての質問でしたので、少々調査してみました。
ご質問内容
当社はニューヨーク州内でオンライン・ショップの開設を予定しています。当ショップでは販売促進の一環として購入金額に応じたポイントを発行しており、顧客は貯めたポイントを買い物に使用することができます。
この場合の売上税は、割引前と割引後のどちらの商品金額に課税されるのでしょうか?
(ニューヨーク州に支店を持つ会社様より)
はじめに
ニューヨーク州税務当局のサイトで、クーポン・ポイントカード・スタンプカード等による割引販売と売上税の関係について解説しています。
Customer Loyalty Cards
https://www.tax.ny.gov/pubs_and_bulls/tg_bulletins/st/customer_loyalty_cards.htm
Coupons and Food Stamps
https://www.tax.ny.gov/pubs_and_bulls/tg_bulletins/st/coupons_and_food_stamps.htm
こちらの情報を元に、以下に説明します。
生産者割引
生産者割引(Manufacturer’s discounts)とは、メーカーやその他第三者が割引分を販売店に補填する場合です。
例えば、メーカーが販売促進のため自社製品の割引クーポンを折り込み広告やウェブサイトに掲載したとします。
クーポンを提出またはクーポンコードを提示した顧客は販売店で割引を受けることができます。その割引分は、後日、メーカーから入金されます。
生産者割引では、割引前の元の価格に対し売上税が課税されます。後日メーカーからの補填がありますので、割引前価格で販売したことと同じだからという理屈です。
例: 3ドルの商品をメーカーが発行する1ドル引きのクーポンと現金2ドルで販売した。
販売者割引
販売者割引(Store discounts)とは、割引分を店舗が負担する場合です。店舗が折り込み広告やウェブサイトに、その(系列)店舗のみ使用できるクーポンを発行する場合等です。
販売者割引では、割引後の価格に対し売上税が課税されます。割引により店舗の売上げが減るからという理屈です。
例: 3ドルの商品を店舗が発行する1ドル引きのクーポンと現金2ドルで販売した。
ポイントやスタンプを貯めて使う割引
ポイントカードやスタンプカードなど、購入額に応じたポイントやスタンプを貯めて将来割引できるという制度もあるでしょう。
この場合も、上記「生産者割引」と「販売者割引」と原則は同じです。
- 割引分についてメーカーや第三者からの補填がある → 「生産者割引」
- 補填など無く店舗が独自に割引を行なう → 「販売者割引」
クーポン・商品棚ラベル・領収書への表示
クーポン・商品棚ラベル・レシートへは、メーカー割引・店舗割引の区別を明確に記載しなければなりません。これらを怠り、税の徴収が過少であると判断された場合、不足分は店舗の負担となりますので注意が必要ですね。
以下は、ニューヨーク州税務当局サイトより引用したレシートの例です。
(引用元:https://www.tax.ny.gov/pubs_and_bulls/tg_bulletins/st/customer_loyalty_cards.htm)
まとめ
今回ご質問をいただきましたお客様には、ポイント制の割引制度とのことでしたので、「販売者割引」をご案内しました。また、請求書の記載方法を上記のように、課税対象額・割引額・税額が明確になるようアドバイスさせていただきました。
今回はニューヨーク州の例ですが、他州でも概ね同じ制度が多いようです。ただし、例えばテキサス州では、たとえ生産者割引でメーカーや第三者からの補填があったとしても、販売者割引と同じように割引後価格に課税が行われます。
このように、各州の税制は異なりますので、ややこしいですね。事業を行なう州での慎重な調査が必要です。